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Lee-Byung-hun addicted

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第4話

「釜山に行っちゃった」の続き 第4話



「はい、本日の撮影予定これで全部終了で~~す。

お疲れ様でした。

明日は夕方5時からになりますので皆さんよろしくお願いしま~す」

スタッフがそう声を掛けると

「明日夜からだからちょっと親睦会しようか」

という声が聞こえた。

「行こう、行こう!」皆ノリノリだ。

「ビョンホンも行こうぜ」とハギュン。

「いいねぇ~。揺もいいだろ。」

「もちろん。楽しそうじゃない。」

「じゃあ、決まった。今日はビョンホンをつぶしてやるぅ~」

とハギュン。

「それは、困るよ。だって」

「だってもへったくれもない。

お前だけ幸せなんて許せん!なぁ~みんな。」

「そうだ、そうだ。俺達が必死で働いてるのに、

彼女とルンルン観光なんか来ちゃってさ。

どろどろにつぶしちゃえ~」

みんなゲラゲラ笑いながらそんなことを言っていた。

「揺、逃げよう」

ビョンホンが言った時には時すでに遅し。

揺はスタッフに拉致されて遠くに連れて行かれたあとだった。

「また、今夜も邪魔が入るのかよぉ~」

ビョンホンはそう叫ぶと頭をかきむしった。




宴会は盛り上がった。

でも、揺が冷静に見ていると皆飲む量をセーブしているようだった。

さすがプロ。

翌日の仕事に差し障る飲み方はしないということなのだろうか。

そのあおりを食ったのはビョンホンだった。

皆にしこたまいろいろ飲まされている。

少し心配しながらも、

揺は撮影監督と最近凝っているクリストファー・ドイルの撮影手法について熱く語り合い、

時間をすっかり忘れてしまった。

ふと気づくとビョンホンが見当たらない。

急に心配になって店内を探したがどこにもいなかった。

まさかと思って表に出ると、
この寒空の中歩道のブロックの上に大の字になって寝転がり大声で歌を歌っている酔っ払いがいた。

「やだぁ~。ビョンホンssi!」

揺は慌てて駆け寄ろうとしたその時。

彼の傍らにもうひとつの別の影が近づくのが見えた。

ウナだった。

揺は手伝おうと近づきかけたが、

街灯に照らされたウナの表情を見ると

足が凍り付いて前に進まなくなってしまった。

その表情は明らかに恋をしている女の顔だった。

少なくとも揺は直感的にそう思った。

なぜ近寄れなかったのか、

自分でも良くわからなかったが、

気がつくと揺は店の中庭のベンチに一人腰掛けていた。

トイレからの帰り、

ハギュンは中庭のベンチに寂しそうに一人腰掛ける揺を見かけた。

「どうしたの?何かあった?ビョンホンは?」

揺は努めて明るく言った。

「もう、ビョンホンssiったらぐでんぐでんに酔っ払っちゃって、今ウナさんが介抱してくれてるわ。」

「揺ちゃん、行かなくていいの?」

「ほら、私も酔っ払いだし、人の介抱って苦手なんだよね。」

揺はそういうとケタケタと笑った。

ハギュンが顔を覗き込むと目には涙がいっぱいたまっている。

ハギュンはそれがどういうことなのかすぐに察しがついた。

揺がこれしきの酒で酔わないこともわかっていたし、

酔っ払いの介抱には手馴れていることも知っていた。

なのになぜそんなことを言うのか・・・・。

「揺ちゃん、もしかしてビョンホンとウナさんのこと心配してるの?」

「心配?心配なんてしてないけど。

ただ、本当のこというと何だか自分に自信が無くなっちゃって。

ウナさんが介抱している姿見たら逃げて帰ってきちゃった。

それにそんなことでメソメソしてる自分も好きじゃないから、

相当凹んでるかな。」

そういうと揺は星がいっぱい光っている夜空を見上げた。

「しかし、ビョンホンと揺ちゃんてよく似てるよねぇ~。

実は素直で、単純で、涙もろいところなんてそっくりだよ。

ビョンホンは揺ちゃんのそんなところが可愛くて仕方がないんだってさ。」

ハギュンはそういうとニヤッと笑った。

「俺、ウナさんと付き合い長いから、

いろいろ知ってるけど、確かにウナさんはビョンホンのこと好きだと思う。

多分ビョンホンも気づいてたのかも知れない。

でも、あえて気がつかないふりをしていた。

それは期待に答えられないって、

ビョンホンが初めからわかっていたからだと思うよ。

俺から見るとウナさんと揺ちゃんて基本的に全く違うタイプだね。

彼女はどちらかというと素直じゃなくて、複雑で、強がりな女かな。」

ハギュンの話を聞きながら揺は昼間ウナに聞いた男の好みの話を思い出していた。

「素直じゃない男。単純じゃなくて複雑な男。

強がる男。・・だからビョンホンssiは好みじゃないの。安心して」

彼女はそう言った。そういうことか。

「ビョンホンは君の事をとっても大切に思ってるのはわかってるよね。」

揺は大きく何度も頷いた。

「自信もって。大丈夫。君はビョンホンが惚れた女なんだから。」

そういうとハギュンは揺の肩をポンと叩いた。

「ありがとう。そうか。そうだよね。

そうだよね。何だか私、バカみたい。行ってくる」

揺はそういうともう駆け出していた。

「やっぱ、似てるわ。」

ハギュンは苦笑して星空を見上げた。

「ドゥナ元気かなぁ~。電話しよっ!」

そういうとそそくさと店内に入っていった。



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